マウスピース型矯正装置(インビザライン) 部分矯正と全体矯正の違い

矯正コラム

矯正治療を検討中のみなさんは、治療方法の一つであるマウスピース型矯正装置(インビザライン)については一度は耳にしたことがあると思います。
透明のマウスピース型の装置を用いた矯正治療です。

何となくは知っているものの、実際どんなふうに治療が進むのか、あるいはどんな種類があるのかなど、詳細についてはあまりよくわからないな、という方がほとんどではないでしょうか。

今回のコラムでは、マウスピース型矯正装置(インビザライン)について、部分矯正用のプランや全体矯正用のプランの違いなど、より具体的に理解していただけるような内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)とは

まずはマウスピース型矯正装置(インビザライン)とはどのような矯正装置であるかを説明させていただきます。

インビザライン マウスピース矯正 写真

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、アライナーと呼ばれる透明のマウスピース型の装置を用いて歯を動かしていく矯正治療法です。
一枚のアライナー(マウスピース)を1、2週間継続して歯に装着し、順序よく次のアライナーに交換して治療を進めていくシステムです。

アライナーの使用枚数は症例により多かったり少なかったりします。

従来のワイヤー矯正治療と違い、見た目に目立たなく、また取り外しができるので清潔に治療が進められるのがメリットです。
デメリットとしては、患者様ご自身が管理して、きちんと着用していただかないと治療が思うように進まないこと、また細かな仕上がりのクオリティに関してはワイヤー矯正治療には及ばないという点が挙げられます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は1996年にアメリカで誕生し、日本に導入開始されたのは2007年頃で比較的新しいシステムですが、マウスピース型矯正治療の中では最も歴史のあるものと言えます。2023年現在では世界に1500万人以上の患者様がご利用されています。

そもそもの誕生した経緯としては、ワイヤー矯正のような、歯に直接装置をつけずに目立たない方法で矯正治療をしたい、という患者様のニーズと、専門的な矯正治療の技術が無いけれども、矯正治療に手を出したいと考える一般歯科医師のニーズに応える形で開発されました。

日本での導入開始時点では、およそ使い物にならないレベルの装置でしたが、インビザライン社の研究開発が進み、現在では私たち矯正歯科を専門に行う歯科医師の使用に耐えうるレベルに発達してきています。

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マウスピース型矯正装置(インビザライン)に向いている人

マウスピース型矯正装置(インビザライン)が向いている人、あるいは適している症例はどんなケースか見てみましょう。

まずは何といっても、目立たない装置で矯正治療をしたいと考えている人です。同じように見た目に目立たない矯正装置として、舌側矯正装置(裏側矯正治療)がありますが、あちらは手入れの問題や、結局歯に装置をつける形になりますので、より目立たずに清潔に治療が進められるマウスピース型矯正装置(インビザライン)の方をおすすめしています。

インビザライン マウスピース矯正に向いている人

また職業的に、対人関係の多いお仕事の方や、芸能関係のお仕事されている方など、人目を気にされるご職業の方は向いていると言えるでしょう。あるいは思春期の多感な時期のお子様方も良いと思います。

では症例として向いているのはどんな症例でしょうか。それは、ある程度ガタガタな歯並びであったり、八重歯、出っ歯といった症例は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)での治療が向いている場合があります。

インビザラインに向いている症例 写真

逆にあまり歯並びは悪く無いのに、口ゴボになっている症例はマウスピース型矯正装置(インビザライン)は向いていません。不思議ですよね?ガタガタが少ない方が治療難易度は低いと感じるかもしれませんが、逆にマウスピース型矯正装置(インビザライン)で行うには向いていない症例になってしまうんですね。

インビザライン マウスピース矯正に向いていない症例 写真

実際に皆様の症例がマウスピース型矯正装置(インビザライン)に向いているかどうかは、一度ご相談にお越しいただけるとはっきりと申し上げることができますので、ご遠慮なくお問い合わせください。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動く仕組み

取り外しができるアライナーでどうして歯が動くのでしょうか?

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、アライナーを交換していくことで歯が動きます。治療開始の段階で、最終的な治療後の状態まで、いっきに歯が動くわけでは無いですよね?ひとつひとつのアライナーは、治療の最終の状態まで、ほんの少しずつ歯が動いた状態で出来上がってきます。それを一定期間しっかりと歯並びに着用することで、アライナーの歯並びに対して、歯が馴染むようにして動いていくのです。

インビザライン マウスピース矯正 クリンチェック

アライナー1枚(約1~2週間)で動かせる歯の移動量は0.25m mとされています。本当に少しですよね?ですが、アライナーを初めて着用した時、あるいは新しいアライナーに交換した時は、結構キツく感じるんです。同じアライナーを1週間程度着用していると、だんだん歯が動いて馴染んでいきますので、最初はキツく感じていたのが全く感じなくなっていきます。

抜歯症例などでは、使用するアライナーの数は何十枚にもなりますので、その数が多ければ多いほど治療期間が長くなるというイメージですね。

このようにしてマウスピース型矯正装置(インビザライン)では歯が動いていきますので、しっかりとアライナーを着用していただくことが重要になってきます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン) 部分矯正とは

マウスピース型矯正装置(インビザライン)にも種類があります。大きく分けますと部分矯正用のプランと、全体矯正用のプランです。

まずは部分矯正について解説しましょう。

部分矯正とは

部分矯正とは、すべての歯を動かすのではなく、動かす歯の数を限定して治療する方法です。例えば主に前歯(左右の犬歯から犬歯まで)だけを動かすような治療です。
あるいは、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の場合は歯を動かすアライナーの枚数に制限を儲ける治療法です。ですのでマウスピース型矯正装置(インビザライン)を用いた部分矯正では、奥歯も動かすことはできますが、動かすために用いるアライナーの数に制限があります(多くても26枚です)ので、現実的には奥歯を理想的に動かすことは難しくなります。

どんな歯の症状の人?

部分矯正が適用できる症例はどんな歯並びの人でしょうか。その例をここにご紹介いたします。

  • 症例1(すきっ歯)
    例えばこちらの症例は、上の前歯のすきっ歯を気にしてこられました。前歯が外開きになってすき間が目立ちますね。このような症例で、上の前歯だけを治して欲しいという場合は適用可能です。左右の犬歯から犬歯までを対象とし、用いたアライナーの数は23枚でした。
    インビザライン 部分矯正 すきっ歯 症例写真
    主訴(気になるところ) 前歯の隙間
    診断名 前歯部翼状捻転を伴う空隙歯列
    年齢 24歳
    治療に用いた装置 マウスピース型矯正装置(インビザライン)
    抜歯部位 非抜歯
    治療期間 4カ月
    治療費 マウスピース型矯正装置(インビザライン)部分矯正治療 中等度 550,000円(税込み)
    リスクと副作用 前歯の突出感が残る可能性がありました。下の歯との噛み合わせが強くあたるようになってしまうリスクもありました。そのような場合は咬合調整が必要になります。
    コメント 前歯に大きく隙間が開いてしまっている症例です。ご本人の経済的ご希望により部分矯正治療を適用しました。これくらいの症例であれば、マウスピース矯正(インビザライン)の部分矯正でも十分治療可能で、治療期間も4ヶ月ほどで完了いたしました。前突感は残ることをご承知いただいて治療を行いましたので、患者様も大変ご満足いただいた症例となっています。
  • 症例2(過去に矯正治療経験がある方の後戻り)
    こちらの患者様は過去に矯正治療経験があり、保定装置(リテイナー)を使用しなかったことにより後戻りしてしまった症例です。ガタガタが少し発生していて、また噛み合わせが少し深くなっている状態でした。このような後戻り症例は部分矯正が適用できます。小臼歯から小臼歯までを動かし、用いたアライナーの数は14枚でした。
    過去に矯正治療経験がある方の後戻り 症例写真

部分矯正の期間

部分矯正にかかる期間はそれほど長くはありません。
症状の程度にもよりますが、2ヶ月〜6ヶ月といったところでしょう。適用可能な症例であれば、結婚式に間に合わせたい、あるいは海外留学までに少し治しておきたいなどの場合にちょうど良いかもしれません。

部分矯正の費用

部分矯正にかかる費用は、その症状の程度により、軽度、中等度の二つに分かれています。

  • 上下の歯並び両方の場合
    軽度  ¥33万円
    中等度 ¥44万円
  • 上か下かどちらか片方の歯並びだけの場合
    ¥22万円

症状の程度については、一度診査しないと判断できませんので、ご遠慮なくご相談にお越しください。他のホームページでかなり安い価格で出ているものは全体矯正の価格ではなく、この部分矯正の価格ですのでご注意ください。

マウスピース型矯正装置(インビザライン) 全体矯正とは

それでは全体矯正とはどのようなものでしょうか。

全体矯正の意味

これは非常にわかりやすく、上の歯並びも下の歯並びも、また前歯も奥歯もすべて完全に治療することを指します。来院される患者様の多くの方の症状が歯の大部分を動かして治療をすることが多く、その結果、私たち矯正歯科を専門に行う歯科医師が最もおすすめしている治療となり、歯並びだけでなくお顔の見た目にも大きな変化を期待することができる矯正治療になります。

どんな歯の症状の人?

  • 症例1(強い出っ歯)
    例えば強い出っ歯の症例です。出っ歯が強いだけでなく、ガタガタも結構キツい感じの症状ですが、これでもマウスピース型矯正装置(インビザライン)で十分に治していくことが可能です。小臼歯の抜歯を行なっています。歯並びだけでなく、お顔の変化もしっかり実感していただけると思います。最初の治療計画で出来上がったアライナーの枚数は86枚でした。
    強い出っ歯の症例 写真
    主訴(気になるところ) 出っ歯とガタガタ歯
    診断名 上顎前突
    年齢 27歳
    治療に用いた装置 マウスピース型矯正装置(インビザライン)
    抜歯部位 上下左右 第一小臼歯
    治療期間 1年8カ月
    治療費 マウスピース型矯正装置(インビザライン)治療 長期保証プラン 1,320,000円(税込み)
    リスクと副作用 顎の骨のハウジングから歯が逸脱するような場合に、歯ぐきのラインが下がってしまうリスクもあります。失活している歯については、矯正治療中に症状が悪化して失うリスクもありました。また奥歯の噛み合わせが甘くなる可能性がありました。
    コメント こちらの患者様の症状は、著しい出っ歯とガタガタ(叢生)でした。かなり厳しい出っ歯でしたが、マウスピース型矯正装置(インビザライン)治療で、小臼歯を抜歯して治しています。真横から歯並びを見て驚きませんか?15mm以上も前歯が出ていましたが、きっちり後ろへ下がっていますね。このようにマウスピース型矯正装置(インビザライン)治療でも、出っ歯やガタガタは十分に治せます。抜歯治療であっても、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療計画であるクリンチェックをきちんと作れるかどうか、その設計やデザインがとても重要です。やはり矯正歯科専門のクリニックで安心安全、そして確実な矯正治療を受けていただきたいですね。
  • 症例2(八重歯)
    こちらの症例はしっかりとした八重歯の症状です。上下ともにガタガタが強めの症例でありましたので、マウスピース型矯正装置(インビザライン)が適応可能と判断しました。こちらも小臼歯の抜歯を行なっています。笑顔の印象が激変しているのを確認していただけると思います。
    八重歯の症例 写真
    主訴(気になるところ) 八重歯とガタガタ歯
    診断名 犬歯の唇側転位を伴う叢生
    年齢 17歳
    治療に用いた装置 マウスピース型矯正装置(インビザライン)
    抜歯部位 上下左右 第一小臼歯
    治療期間 2年3カ月
    治療費 マウスピース型矯正装置(インビザライン)治療 長期保証プラン 1,320,000円(税込み)
    リスクと副作用 臼歯部が近心傾斜して、臼歯部の噛み合わせが完全に決まらない可能性がありました。また上下の歯並びの真ん中を合わせるのも場合によっては難しいことがあります。
    コメント こちらの症例はわかりやすい八重歯の状態です。顎の骨の狭さや、ガタガタの具合から抜歯が必要な症例です。
    一般的にマウスピース型矯正装置(インビザライン)治療で、抜歯症例は難易度が高い、あるいはマウスピース型矯正装置(インビザライン)治療の苦手分野と考えられていますが、私はそんなことはないと考えます。
    抜歯症例の場合でも、マウスピース型矯正装置(インビザライン)治療が適応可能かどうか、その見極めが非常に大事です。また治療計画であるクリンチェックをどれだけ正確に設計できるかどうかが肝要なのです。正しく治療計画を設計できれば、この症例のように綺麗に治すことが可能です。笑ったときに目立っていた八重歯が綺麗に治っていますね。マウスピース型矯正装置(インビザライン)では治せないんじゃないかと悩んでいる方は、あきらめずにご相談ください。

全体矯正の期間

全体矯正治療にかかる期間は、症例によりますが、抜歯矯正の場合2年〜3年が平均的です。歯を抜かない治療の場合は、1年〜2年といった具合になります。これらの治療期間は、ワイヤー矯正治療とあまり変わらないと考えていただいた方が良いでしょう。

    マウスピース型矯正装置(インビザライン) 保証期間について

    矯正治療では、治療後にガタガタなどが後戻りしてしまうことがあります。せっかく治して獲得した美しい歯並びは、可能な限り長く続いて欲しいですよね。そのためには、矯正治療後の後戻りを防ぐための、リテイナーと呼ばれる保定装置を着用していただく必要があります。

    しかし保定装置をしていても後戻りが発生することがあります。その場合に、再治療により保証する期間がそれぞれのクリニックには設けられています。
    その保証期間は一般的な歯科クリニックでは、治療後1年までとしていることが多いです。長くて2年といった具合です。

    中には保証期間のないクリニックも多く存在します。せっかく綺麗な歯並びになったのですから、治療後の後戻りに対する保証期間やその内容についてはきちんと考えていただきたいと思います。

    • 淀屋橋矯正歯科 マウスピース型矯正装置(インビザライン)2年保証
      私たち淀屋橋矯正歯科では、日本矯正歯科学会および大学病院における矯正歯科治療の指針に従い、治療後の後戻りに関する再治療の保証期間を最低でも2年としています。自分たちが行なった治療結果はしっかりと守ることは、矯正歯科専門のクリニックとして当然の義務と考えています。
      マウスピース型矯正装置(インビザライン) 2年保証についてはこちら >>
    • 淀屋橋矯正歯科 マウスピース型矯正装置(インビザライン)長期保証
      期間を設けず、長期に渡って治療結果をお守りするプランです。何度でも再治療により保証します。例えば治療後2年経過したとしても、その後リテイナーを外してしまえばやはり後戻りは発生してしまいます。仮に高校生で矯正治療を行なったとして、大学2年生の時点で保証期間が終わってしまうのはいかがなものでしょうか。私たち淀屋橋矯正歯科では、治療結果を可能な限り守りたいと考えています。長い人生を考えての保証プランになっています。
      マウスピース型矯正装置(インビザライン) 長期保証についてはこちら >>

    まとめ

    ここまで、マウスピース型矯正装置(インビザライン)について具体的に解説してきました。ひと口にマウスピース型矯正装置(インビザライン)といっても、治療方法から期間など、考慮すべきポイントがいくつもありましたね。

    矯正治療を終えられた方々は本当に皆さん笑顔で元気な表情になっておられます。私たちも本当にやりがいを感じています。

    矯正治療は本当に専門的な治療分野になります。獲得した笑顔や美しい歯並びは一生ものです。人生に大きな影響を与える結果を得られるでしょう。矯正治療はそうでなくてはなりません。その治療結果を生涯に渡り守りたいという思いで矯正治療を行なっています。

    少しでも悩んでおられる方は、勇気をもってぜひ一度ご相談にお越しいただければと思います。

    淀屋橋矯正歯科 マウスピース型矯正装置(インビザライン)による治療についてはこちら >>

    マウスピース型矯正装置(インビザライン)について動画でも分かりやすく解説しておりますので、是非ご覧ください。
    淀屋橋矯正歯科 マウスピース型矯正装置(インビザライン)による治療についての動画はこちら >>

    インビザライン マウスピース矯正で美しい歯並びを

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