上の歯と下の歯のすき間(開咬、オープンバイト) 他の症状との違いと治療方法
みなさんこんにちは。今回のお話は、上の歯と下の歯にすき間がある症状、開咬(オープンバイト)についてです。他の良くない歯並びの症状と混同している方や、あるいは良くない歯並びであることに気づいておられない方もおられることでしょう。今回はその開咬について、こちらのコラムで詳しく解説していきたいと思います。
目次
上下の歯のすき間 開咬(オープンバイト)とは
まず、開咬とは、上下の前歯が嚙み合わずにすき間が開いてしまっている歯並びのことを言います。奥歯しか噛み合っていないため、噛み合わせの力が奥歯にだけ集中してしまい、早期に奥歯を壊してしまうことが多く、また歯の形がすり減ってしまっている症例が多く見られます。
開咬の症状と原因
開咬の症状は、上下の前歯の噛み合う深さが、垂直的に0mm以下で、 全く噛み合わずにすき間が開いてしまっている状態です。通常、前歯の噛み合う深さは、上の前歯が下の前歯に対して2~3mm覆いかぶさっている状態が理想的です。前歯が噛み合っていないので、前歯で食べ物を噛み切ることが難しく、奥歯で噛み切っていませんか?
開咬になってしまう原因は様々ですが、大きく3つに分けられます。一番多い原因としては、幼少期の指しゃぶりです。次にご飯を食べるときなどに舌を前歯の方へ押し出してしまう舌突出癖、そして遺伝的に開咬になりやすい骨格の場合があります。
開咬と出っ歯、口ゴボとの違い
開咬は、前歯が噛み合っていないという症状が特徴的です。
それに対して出っ歯は、前歯が前方へ突出している状態を言います。
開咬が垂直的な前歯の関係の問題であるのに対して、出っ歯は上下の前歯の前後的な距離や角度の問題になっているのが違いです。また出っ歯の場合でも、開咬の症状を併発している場合もあります。
口ゴボは、前歯の位置が前方へ出ている場合に、お顔の症状として現れます。
その原因が出っ歯である場合もありますし、あるいは前歯の角度は悪くないけれど、顔面に対しては前方へ位置してしまっていることにより口ゴボを呈することもあります。開咬の症状によって口ゴボになっている場合もありますので、それぞれの症状は、違いもあるけど、関連していることもあるわけです。
開咬を放置すると
それでは開咬を放置することによるリスクを見てみましょう。
まずは、奥歯しか噛み合っていないことにより、奥歯の負担が大きくなり臼歯がすり減ったり欠けたりする可能性が高くなります。
次に、口が閉じにくいことにより口呼吸になりやすく、口腔内が乾燥しやすくなることで結果的に虫歯や歯周病、あるいは口臭の増加などのリスクにつながります。
そして、顎が平均よりも時計回りに回転している場合が多く、
噛み合わせがずれやすくなるので、顎の関節に負担がかかり顎関節症状のリスクも上がります。
また、前歯が閉じていないことにより、発音機能に問題がある場合があります。サ行やラ行などの発音に違和感があるにもかかわらず、ご本人は気づいていないということもあります。
このように、気づかないうちに意外と深刻なリスクを抱えてしまっているのが開咬の怖いところです。やはり早期に認知して、歯列矯正治療のご相談に行くべきです。
正しい噛み合わせと開咬の治療方法
それでは開咬をどのようにして治すのか、その治療方法を解説しましょう。
まず、私たち矯正歯科専門の歯科医師が見るところの正しい噛み合わせとは、第一大臼歯の咬合関係、そして犬歯の咬合関係、最後に上下の歯並びの真ん中が合っているかどうか、正中の一致です。この3つの条件が揃っていると、正しい噛み合わせということになります。
開咬の場合は、これら全てがずれていることがほとんどです。それくらい噛み合わせとしては良くない歯並びなんですね。
治療方法としては、初診時の大臼歯関係の具合、そして前歯の角度、開咬の程度などを主に踏まえて診断します。ほとんどの場合は抜歯ケースとなることが多いとお考えください。適応可能な矯正装置は、症状の程度により左右されます。表側ワイヤー矯正が最も適している場合もあれば、マウスピース型矯正装置(インビザライン)で対応可能な症例ももちろんあります。
ぜひ矯正歯科専門のクリニックで診断してもらいましょう。
開咬の治療症例と治療期間
それでは実際の開咬の治療症例を見てみましょう。
まずはこちらの症例ですね。
こちらは開咬であると同時に八重歯もひどくなっていますね。こういった場合はやはり上下の小臼歯を抜歯して治すことになります。
結果としてはこの様に治っていますので、非常に良い歯並びになりましたね。
次にこちらの症例です。
一見するとガタガタではないので、歯並びは悪くないのかなと考える方もおられるかもしれませんが、これも立派な開咬症例で、横から見ると上顎の歯が前方に位置していることにより口ゴボの雰囲気にもなっています。
こちらは上顎の小臼歯だけの抜歯で、しかもマウスピース型矯正装置のインビザラインで対応しました。
この状態になるまで一年もかかっていませんので、いかに診断が的確かが問われる世界かがお分かりいただけるかと思います。
開咬の治療費用について
開咬を治療する場合の治療費用についてですが、基本的には他の症状の治療と同様に、どの矯正装置を使うかによって費用が変わります。
開咬だからといって特別な費用がかかるわけではありません。しかし、開咬の場合には舌を出す癖、舌突出癖がある方が多いですので、その癖がなかなか治せない方は、上下の前歯がなかなか噛んでこないことがあり、その場合には治療期間が平均より長くなってしまう可能性があります。
先生や衛生士さんの指導にしっかり従いましょう。
・ワイヤー矯正はこちら>>
・マウスピース型矯正装置(インビザライン)はこちら>>
・裏側矯正はこちら>>
・小児矯正はこちら>>
まとめ
いかがでしたか?
開咬は見た目にも問題がありますし、発音の不明瞭さにもつながるなど、問題として多岐にわたっていましたね。放置期間が長引くほどその問題は大きくなっていきますので、なるべく早くにご相談にお越しいただきたいです。
お子様のうちに治す方がより治療結果は安定させやすくなりますので、中高生のお子様がご家庭におられる親御さん方にはぜひご理解いただきたいですね。
私たち淀屋橋矯正歯科は、日本歯科医師会及び大阪府歯科医師会にも正規会員として所属していて、日本矯正歯科学会の指針に則った安心安全な治療を徹底して心がけています。どうぞ安心してご相談にいらしてください。